委託契約書とは

廃棄物処理の重要な原則として、排出事業者責任があります。

これには、事業者が自ら処理する場合と、都道府県等から許可を受けた処理業者等に委託して処理する場合があります。

そして、産業廃棄物の処理を処理業者に委託する場合は、排出事業者と処理業者の間で適正な委託契約を結ぶことが求められます。

なお、産業廃棄物の処理を委託する際に契約書を作成しないと、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」という、刑事罰がありますので、特に注意が必要です。

委託基準

適正に委託契約を結ぶために、法で定める委託基準があります。
(法第12条第5項~第7項、法第12条の2第5項~第7項)

  • 処理を委託する相手は処理業の許可を有する(または規則第8条の2の8及び第8条の3に定める)者であること。(令第6条の2第1号、第2号)
  • 委託する業者は、委託しようとする産業廃棄物の処理が事業の範囲に含まれていること。(令第6条の2第1号、第2号)
  • 委託契約は書面で行うこと。(令第6条の2第4号)
  • 特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合は、委託する者に対してあらかじめ特別管理産業廃棄物の種類、数量、性状、荷姿、取り扱い上の注意事項を書面で通知すること。(令第6条の6第1号、規則第8条の16第1号、第2号)
  • 契約書及び契約書に添付された書類を契約終了日から5年間保存すること。(令第6条の2第5号、規則第8条の4の3)
  • 収集運搬の委託は収集運搬業の許可を持つものと、中間処理(再生を含む)または最終処分の委託は処分業の許可を持つものと、それぞれ2者間で契約すること。(法第12条第5項)

委託契約内容

契約内容を明確にするため、委託契約は書面により行うことが義務付けられています。書面への記載が必要な事項は以下のようになります。

契約書の共通記載事項
①委託する(特別管理)産業廃棄物の種類および数量
②委託契約の有効期間
③委託者が受託者に支払う料金
④受託者の事業の範囲
⑤委託者の有する適正処理のために必要な事項に関する情報
⑥委託契約の有効期間中に前項の情報に変更があった場合の伝達方法に関する事項
⑦委託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項
⑧契約解除時の処理されない(特別管理)産業廃棄物の取り扱いに関する事項
運搬委託契約書の記載事項
①運搬の最終目的地の所在地
②(積替保管をする場合には)積替えまたは保管の場所の所在地、保管できる産業廃棄物の種類、保管上限に関する事項
③(安定型産業廃棄物の場合には)積替えまたは保管の場所において、他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
処分委託契約書の記載事項
①処分または再生の場所の所在地、処分または再生の方法および処理能力
②最終処分の場所の所在地、最終処分の方法および処理能力

3者契約の禁止

委託契約は、基本的に排出事業者と産業廃棄物処理業者の2者間で直接行います。

排出事業者が、収集運搬業者と処分業者を含めた3者間での契約を結ぶことは、いわゆる3者契約にあたり、法はこれを禁じていると解されています。

例えば、収集運搬と中間処理の両方を委託する場合では

「排出事業者」「収集運搬業者」

「排出事業者」「中間処理業者」

という形で、それぞれの処理業者と個別に契約書を作成することが必要となります。

例外的に収集運搬業者と中間処理業者が同一の業者の場合では、「排出事業者」「収集運搬業者」「中間処理業者」が一括して1通の契約書で行うことが認められます。

再委託の禁止

再委託とは、排出事業者と委託契約を結んだ処理業者が、他の者にさらに委託することです。

法律では産業廃棄物処理の責任の所在が不明確になり、ひいては不適正処理を誘発する恐れから原則として禁止しています。

但し、以下の場合には再委託が認められております。

①再委託基準に適合した手続きにより実施する場合

②受託者が改善命令、措置命令を受けた場合

廃棄物処理の委託契約を締結するときは、処理業者としての能力(車両数、施設の能力、人員数)を考慮する必要があります。

処理業者は、その能力に見合った量の廃棄物処理に関する契約を行うことが重要であり、再委託を前提とした契約を結ぶことはできません。

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