産業廃棄物収集運搬業の5つの要件
産業廃棄物収集運搬業の許可を受けるには、法で定めた次の5つの要件をすべて満たす必要があります。
①運搬施設の要件
ア)廃棄物の運搬について
産業廃棄物を運搬するには、産業廃棄物が飛散・流出したり、悪臭が漏れるおそれのない運搬車・運搬容器を確保しなければなりません。
車両の構造上、廃棄物が、飛散、流出する可能性がある場合は、専用の容器等を使用するなど適切な措置を行う必要があります。
【 廃棄物を運搬する際にとるべき対応例 】
産業廃棄物の種類 | 対応例 |
---|---|
汚泥 | 水密仕様ダンプ車・汚泥吸引車等で運搬。 車両を用意できない場合は密閉可能なドラム缶容器等で運搬。 |
廃油 | 密閉可能なドラム缶を使用して運搬。大量に運ぶ場合はタンクローリーや吸引車で運搬。 |
廃酸・廃アルカリ | 密閉可能な耐酸性・耐アルカリ性のプラスチック容器で運搬。 |
燃え殻・ばいじん 動物性残さ・鉱さい |
粉状の場合:密閉可能なドラム缶で運搬。 液状の場合:水密仕様ダンプ車で運搬。 |
動物の死体 | 運搬中の腐敗を防止するため、保冷車、冷蔵車等の車両で運搬。 |
イ)運搬車両について
運搬車両は1台以上保有していれば問題ありません。但し、継続して車両を使用する権限を有していることが必要です。
以下に注意点をご案内いたします。
- 自動車検査証の使用者と申請者が同じであること。
※異なる場合は、自動車の賃借契約書等の提出が必要です。 - 他の事業者が登録した車両は、使用(登録)することはできません。
- 事業用自動車(緑ナンバー)を賃貸して使用(登録)する場合は、事前に運輸支局にて手続きを行うことが必要です。
- 収集運搬に使用する車両の保管場所があること。
- 塵芥車(パッカー車)で「がれき類」「石綿含有産業廃棄物」を運搬することはできません。
- 「がれき類」及び「鉱さい」を「土砂等禁止」の車両で運搬することはできません。
- 車検査証が有効期間内であること。
②講習会を修了していること
産業廃棄物収集運搬業を的確に行うための知識及び能力が必要とされますので、申請者は認定講習会を受講していなければなりません。
受講者対象者は、法人の場合は常勤の取締役が、個人の場合は個人事業主が、財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する産業廃棄物処理業の講習会(2日間)を修了する必要があります。
【注意点】受講の注意点のお知らせ
|
なお、許可申請には修了証の写しの提出が必要となります。
③経理的基礎の要件
申請者は、産業廃棄物収集運搬業を的確かつ継続的に行うことができる経理的基礎を有することが必要とされています。
判断基準としては、債務超過の状態でないことが必要とされています。
なお、債務超過である場合等は、追加資料(中小企業診断士の経営診断書等)を提出することで経理的基礎を有すると判断されることもあります。
経理的基礎は直近3期分の決算書及び納税証明書等で審査されることとなります。
◆そこで1番最初に確認が必要なのが「法人税の納税状況」です。
- 直近の納税額が1円以上あって、かつ、直近の3年間に未納税額がなければ、要件を満たせています。
- 直近の納税額が0円又は直近3年間に未納税額がある場合は、次の「債務超過の状態であるかどうか」を確認します。
◆債務超過の状態であるかどうか
- 直近決算の貸借対照表で、負債の額が資産の額を上回らない時は納税額が0円でも要件をクリアできています。
- 負債の額が資産の額を上回る場合は更に返済不要な負債が有るかどうかを見みていきます。
設立後1期も経過していない場合は税務署等へ提出した設立届の写しで代用となる自治体もあります。
④適切な事業計画を整えていること
- 排出事業者から廃棄物の運搬の委託を受けることが確実であり、当該事業所から発生した廃棄物の種類や性状を把握しておく事。
- 取り扱う産業廃棄物の性状に応じて、収集運搬基準を遵守する為に必要な施設(車両、運搬容器等)を確保する事。
- 搬入先の処理方法が、取り扱う産業廃棄物を適正に処理できる事。
- 業務量に応じた、収集運搬の用に供する施設能力を有する事。
- 廃棄物の収集運搬に関して適切な業務遂行体制が確保されている事。
⑤欠格事由に該当しないこと
申請者(法人にあっては、役員、株主、個人の場合は、事業主)が以下に該当する場合は許可を受けることができません。
なお、許可後、欠格要件に該当することとなったとき、許可が取り消されることとなります。
- 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
- 暴力団員又は暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者
- 法人で暴力団員等がその事業活動を支配するもの
まずは、必ず審査対象となる上記5つの要件をご確認ください。また、「書類の見方が分からない」「車両等の要件に自信が無い」等々ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問合わせ下さい。